りんごの森 14年度修了制作より
りんご内コンペ第3位
あや(長野西高校)の
【切り取って食べる新しい食べ方の提案】
◆ 修了制作課題
「日常の中の“ちょっとひっかかること”をデザインで解決してみよう!」
◇ 条件:
・プロトタイプの制作
・製品及び使用イメージ写真の撮影
・B2プレゼンボードの制作(枚数自由)
・プレゼンテーション(3分)
あやが今回提案したのは、
コンビニなどの陳列棚でもよく見かけるバー状のパッケージの飴、
この
パッケージのReデザインです。
でも、見た目は、
Reデザイン前と後とでほとんど変わりがないように見えますが・・・(このことの大きな意味には後から触れます)
では、見ていきましょう。
Reデザイン前
Reデザイン後
バー状のパッケージの飴って、
携帯するのにちょうどいい大きさなのですが、
開封して一つ取り出すと、その後は中身を取り出すために紙を破きながら徐々に開けて行く方式なので、よく考えるとあまり見た目がよろしくないんですよね。
その上、口を折り込んだり、絞ったりしないと中身が出て来てしまって、
そのやり方があまいと、バッグの中に飴が散乱したりしてしまいます。
これをデザインで解決してみよう、というのが今回の試みです。
あやが解決策として考案したのが、
このぐるりと一周「きりとり線」のついたパッケージです。
ひとつひとつの飴が「きりとり線」で切り分けられるようになっているので、
パッケージを破いて取り出す必要がなく、見た目もスマートです。
↓
小包包装されている飴とパッケージが一体化しているので、
強く振っても、飴が飛び出して来ることがなく、
口を折ったり、絞ったりする必要もありません。
↓
更に、小包包装の銀色の紙の包み方を変えて、
押すと簡単に中身の飴が出て来る包み方も考案しました。
▼
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押すだけで簡単に中身だけが出て来ます。
ちなみに、他の種類の飴類にも応用が可能です。
最後に、
なぜ、Reデザイン前とReデザイン後の“見た目”を変えなかったのか、
ここにもあやの洞察力が働いています。
それはつまり、
バー状のパッケージを、例えば☆型や十字架型のような新奇性の高い形にすれば、確かに一見目立ちはするでしょうが、
例えばコンビニでバイトする人が陳列棚にこの商品を並べる時、
それをいったいどこの棚に並べたらいいのでしょう???
コンビニやスーパーの什器のデザインと各メーカーが販売する商品の形は、常に呼応した形になっています。
それは消費者として私たちが飴類売り場の前に立つ時、
メーカーの異なる飴類が、ズラッと同じ棚に並んでいることを思い返すと理解できます。
つまり、形がイレギュラーで置き場に困るような飴は、結局のところ、長く生き残っていくデザインにはならないんですね。
なんでもかんでも既存のデザインと形を変えればいいわけではない。
変えない方がいいものもある。
このあやの洞察力の高さが大きく評価され、あやの提案は3位に選ばれました。
単なる表面へのデコレーションだと思われがちなデザインという分野を、
高校生であるあやが「そうではない」と理解している。
ここが最大のポイントだと思います。
そして、修了課題という完全に自由度の高い課題の中で(自由が一番難しいのですが…)、
日常の中で自分が感じる、見落としがちなちょっとした不便さに着眼して、
デザインでこれを解決してみようと思えたこと、
そして何度も試作を繰り返して、自分が求めるベストな答えに帰結できたこと、
このことはとても大切なことだと思うのです。
もちろん、プレゼンボードのデザイン自体はまだまだ難あり。笑
プレゼン自体ももっと言葉をデザインすべきでした。
それでも、教室に来た当初は、
体育会系でいつもは元気なのに、人前に出るとちっちゃくなっていたあやが、笑
花粉症の鼻声で、堂々と3分プレゼンを行えた。
これはすごく大きな成長だと思います。
そして彼女、
「受験に関係ないからテキトーでいい」なんて思わず、本気でこの課題に取り組みました。
それは、彼女が受験や合格のその先の未来をしっかりと見据えているからに他なりません。
今は見えなくても、今いるこの場所も未来に繋がっている。
今日のこの一歩も、自分を未来に連れて行く一歩だ。
そう意識し始めた時から、わたしたち一人一人の“望む未来に自分で自分を連れて行く旅”は始まるように思います。
あやの旅は始まったようです。
あや、よく頑張ったね!