デザイン実習:照明器具 完成

2012年08月21日

美大予備校:DESIGN PLANT
デザインワークショップ【HAPPY PROJECT】


照明器具のデザイン《あかりのカタチを考えよう》

素材:耐熱性特殊用紙/電球類
条件:
1・「折り」を利用して造形をつくること
2・実際に使えるデザインであること

では、16歳から19歳のデザイナー・クリエイターの卵たちのデザインを見ていきましょう。
人気投票1・2位にはコメントもつけておきます。


先ずは【人気投票第1位】
市立長野高校(2年)Yちゃんのデザイン


デザイン実習:照明器具 完成

連続する曲線折りと水平方向のラインが美しいデザインです。
ここにたどり着くまでに、
Yちゃんが何個もスタディーモデルを作り、試行錯誤を重ねた経緯を考えると、
1位は納得の結果と言えます。

しかも、完成形を1個作りながらも、『電球とランプシェードの距離が近すぎる』と
“実際に使えること”を大事にして、
デザインのイメージを損なわずにひとまわりサイズアップしてきたYちゃんの意識・姿勢は、
Yちゃんには“デザインの血”が流れているナと確信させるものでした。

『あ・ダメだコレ、長時間安心して使えない』
その判断が下せたYちゃんは、
高校生だとか、16歳だとかに関係なく、
ユーザーに寄り添うデザイナーなのだと思うのです。

そして、Yちゃんがプレゼンで言った
『昼間の使っていない時も美しいこと』という視点もとても大切です。

デザイン実習:照明器具 完成

そう、照明器具って、使っていない時も基本は出しっ放しですから、
夜だけじゃなく、昼間も部屋のインテリアの一部なんですよね。



お次は、【人気投票第2位】
屋代高校(卒)浪人生Nのデザイン

こちらはSとLのシリーズ展開です。
このあかりのデザインワークショップは、ここ6年ほど続けて来たワークショップですが、
Nのようにシリーズ展開で提案しようとした人は初めてです。

デザイン実習:照明器具 完成

デザイン実習:照明器具 完成

場所やシーンを選ばず生活空間にすんなりと馴染むデザインが支持され、
Lサイズの方が人気投票では第2位に選ばれました。
こちらも、微妙に違う折りを何度も試して角度調整をして行きついたカタチです。

Sサイズの方も、逆さにして天井から吊るすタイプのペンダントライトとして
高低差をつけて複数個つけたら、お部屋の中のいいアクセントになりそうですよね。


ほんのわずかな折りの違い、角度の違い、円弧の違い、縦横比の違いにこだわって、
スタディモデルを何個も作ったふたりがワンツーフィニッシュでした。
“試す”ということはとても大事なことなのです。



では、その他のデザインも見ていきましょう。


長野高校(卒)浪人生Kのデザイン

デザイン実習:照明器具 完成



上田染谷丘高校(卒)浪人生Mのデザイン

デザイン実習:照明器具 完成



長野高校(3年)Dのデザイン

デザイン実習:照明器具 完成



合評には、あかりを制作していない高校生たちや
現在ムサ美や桑沢に通う以前のハピプロ受講生たちも参加してくれました。

デザイン実習:照明器具 完成

美大生からプレゼンテーションに対するアドバイスなど、とても大事な意見をもらえたと思います。
全員に今後の課題にしていってほしいな、と思いマス。
みんなプレゼンを甘く見過ぎなので、ここらでガツンと言ってもらえてよかったですネ。
ちゃんと言葉もデザインしていきましょう!


でもまぁ、コツコツの積み重ねでしかできない今回の課題、
全員が最後まで逃げずに作り上げたのは立派です。



こうした一連のデザインワークショップをなぜ【HAPPY PROJECT】と名付けたか、
それは、この問いかけがあるからです。


「そのデザインはひとをHAPPYにするか?」


“自分らしさ”を追求し続けるファインアート的な制作姿勢には、
小中高と図工や美術の時間の制作を通して、誰もが一度は触れる事が可能です。

でも、“そのものらしさ”を追求するデザイン的な制作姿勢は、
あまりとりあげられることはありません。

けれど、デザイン科に入学すれば、
問われるのはそこです。

「みんなには気持ち悪くても、オレにはカッコ良く見えるからこれでいいんだ!」
なんてことは通用しないのです。
それを言っていいのはアーティストだけで、
デザイナーがそんなことを言うのは単なるエゴです。
デザインでは、誰も必要としていないものなど、
人の資金や労力や時間や地球の資源を使ってわざわざ作る必要などないのですから。


自分がデザインした“それ”があったからって、
それを手にしたひとが、一生しあわせ、なんてことはないかもしれない。
でも、見知らぬ誰かの人生で、3分でも3秒でもいい、
自分がデザインした“それ”が誰かにHAPPYを届けるなら、
そのために全力で改良とブラッシュアップを繰り返す事ができるひと。
それが、デザインに向いているひとなのかもしれません。
特に今回のようなプロダクトデザイン(製品デザイン)分野なら尚更です。

きっとそのHAPPYにもいろいろな種類があるはずですが、
自分だけでなく、ひとの意見を聞き、ひとの頭で考え、ひとの目でも見て目指すのは、
それがあることで、今までよりも
便利になった・困らなくなった・解りやすくなった・
迷わなくなった・笑顔が増えた・安心できた・楽しくなった・
いい気分になった・かっこよくなった・オシャレになった、というようなことです。

そしてそのことを自分が自分自身に誇れること。
そのためにも、
自分が一番のファンでいられるものを造らなくてはなりません。
アートのように“主観で造る”わけではなく、
“客観で造る”デザインでも、
やはり決定の最後には主観が必要なのです。
主観なき客観は、弱いですから。


今回、諸条件をクリアしつつ、
“日常空間を彩る照明器具はどういうカタチであるべきか?”
そのこととひとりひとりが真剣に向き合えたなら、
例え今回思ったようにいかなかったとしても、
デザイン道としては、一歩前進なのだと思うのです。


そして、
今回みんなは照明器具という“モノ”そのものを造ったようでいて、
実は同時にみんなが造り出していたのは、
自宅に持ち帰ってあかりを灯してみた時に感じる
見慣れた部屋のいつもと違う雰囲気、
少しだけ和んだように感じる空気感、
あかりを灯して生まれた家族の笑顔。
そういった、
空間に“モノ”が加わる事によってもたらされたはずの“コト”の変化
そういう変化をこそ造り出していたのです。

デザインて、“モノ”を通して生活の中の“コト”と向き合う行為でもあるんです。

そのモノを造ることで、
世界にどんなHAPPYな“コトの種”を蒔きたいのか、
誰かの生活にどんなHAPPYなコトを引き起こしたいのか、

自分のクリエイティブな能力を使って、それを真剣に、そして丁寧に掘り下げていく。
DESIGN PLANTに通うまだ10代のみんなが将来の職業に選んだデザインという職業は、
そういう仕事なのです。


〜 あなたのそのデザインは、誰かをHAPPYにしましたか? 〜


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Posted by りんごの森のミズキせんせい at 18:30│Comments(0)美大予備校:DESIGN PLANT
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