お気に入りをみつけてください。

2013年10月10日

この夏は、オーキャンことオープンキャンパスに行くために受講生とちょっと遠出。
(※)は一番下に関連サイトのリンクがあります。


1回目は【デザインピクニック in 金沢】で
《金沢美術工芸大学》と《21世紀美術館》(※1)へ、

いいお天気で、まぁ暑かったです。笑

でも、海がキレイでした。
お気に入りをみつけてください。
長野県人はどうしても、海を観るとテンション上がっちゃいますよねぇ。笑



【デザインピクニック in 金沢】

SANAA(※2)設計の《21世紀美術館》のタレル部屋では、
大好きなアーティスト、[ジェームズ・タレル](※3)の作品を一緒に行った受講生にも体験してもらい、
しばし切り取られた空の色の変化に見蕩れました。
お気に入りをみつけてください。
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「いいよねぇ」「いいですねぇ」とか言い合ったのも、
体験し終わって帰る時くらいですね。

そのくらい静かに“空と自分だけ”そういう空間体験です。

空って、いつも頭上にあるのに、或いはいつでもあるから、
毎日じっと眺めたりはしないもの。

でも、こうして切り取られると、
目が離せないくらい変化に富んだ美しい存在だと改めて気づかされます。

今日、今、この瞬間の空は、
一生に一度、もう二度と目にする事はない光景なんだな、と。

そしてわたしたちは毎日
その美しい光の下で生きているんだな。とか。


《21世紀美術館》、
「え〜〜美術館〜〜〜どうだろ〜〜〜」なんて敬遠しないで、
金沢城や兼六園とも激近なので、どうぞ一度行ってみてください。ちなみに金沢は「忍者寺」こと妙立寺(※4)の案内つきの見学もオススメです。からくりだらけデス。



この世界のどこかに、まだ知らないあなたのお気に入りの一作があるはずなんです。
それは、あなたのスキな曲が、
必ずしも音楽の教科書に載っていた曲ではない。

これとよく似ています。
美術の教科書に載っていた作品が全てではありません。
もしも教科書の中で、スキなものがみつからなかったのなら、
“お気に入り”はきっとその外にあります。
世界のどこかで、その作品はあなたにみつけられるのを待っているのかもしれません。


わたしはこうして受講生を美術館に毎年連れて行くわけですが、ほぼムリヤリ。笑
最初はしぶしぶでも、案外、行ってみると思っていたのと全然違って、
楽しかったり、発見があったりして、やみつきになったりするようですよ。
「そのコたちが“美術系”だからおもしろいんでしょ」って?
いやいやちがいますよ。
彼らの2/3は中高運動部ですし、たとえ進路がデザイン志望だったりしても、
最初は、「美術館なんてつまんない」って思い込んでるコがほとんどですよ。
腕組んで静かに絵を鑑賞する。
みたいないわゆる美術館のイメージが強すぎて。
実際は違うんですけどね。


ちなみにタレル作品なら、
瀬戸内海の直島(※5)の《家プロジェクト:南寺(みなみでら)》の【Backside of the moon・バックサイド・オブ・ザ・ムーン】(※6)
がオススメです。


それは、
自分の手すら見えない暗闇の中で、
じっと座って光だけを待つ体験です。


その暗闇の中で、
自分には見えない光がすでに見えているらしき人たちの動きの気配を感じて、
本当に自分にもその光が見えるのカナと思ったり、
そもそも自分はちゃんと正面を見ているのかなと不安になったり、
その内に、まぶたを閉じているのか開いているのか、
まっすぐ背筋を伸ばしているのかいないのか、
そんな身体感覚すら曖昧になっていきます。

でも、見えてくるんです。光が。

時間は10分〜20分。
その時間は人によってまちまちですが、
暗闇の中ではその時間感覚すら失って、
自分だけ永遠に暗闇に閉じ込められたようなそんな感覚に晒されます。

でも、いつかは自分にも見えてくるわけです。
仄明るい光が。
そして、自分も立ち上がって、その光の方向に、そうっと歩き出すわけです。

それは、なんだか「希望」を見出すプロセスに似ていると思うのです。

暗闇の中で、「もしかしたら自分には見えないんじゃないか」とか思いながら、
本当に見えるかどうかも判らない光を待つ、
それ自体が、なんだか“祈る”という行為に似ているなと思うわけです。

例えば皆既日食や夜が、完全に明けるものであることが不確実だった時代なら、
太陽の光を待つということは、きっとそれ自体が祈りのようなものだったのかもしれないし、
今だって、何かにひどく落ち込んで、一時、何もできずに何かを待ったり、
叶うかどうかは判らない未来を願ったりするのは、
結局、“暗闇でただ光を待つ”みたいなことなんじゃないかと思ったりするわけです。

そしてそういう時に望むのは、全てを照らし出すような暖かで明るくて強い光であったりするし、
それがなければ動けないような気持ちにさえなるのだけれど、

でも実際は、
その先にほんのわずか、仄明るい光を感じただけでも、また歩き出せる自分をみつけたりします。

「なんだ、光はずっとここにあったのか!」
みたいなカンジに。


なんだかそんなことを淡い光の粒子を吸い込みながら【南寺】の中で思ったわけです。

そしてこの“暗闇で光だけを待つ”その場所は、直島の極楽寺というお寺のすぐ隣にあります。
このタレル作品のための安藤忠雄設計(※7)の建築を【南寺】と名付けたのは、
元々昔はそこに、北寺、中寺、南寺という三つの大きなお寺が並んでいたけれど、
南寺は小さなお堂くらいしか残っていなかったので、
その敷地に一軒一作家の《家プロジェクト》で、新たに建築を建てて、
【南寺】と名付けたのですよ、と初めて直島に行った時に教えてもらいました。
そして、元は中寺であった現在の極楽寺の裏山の頂上には【護王神社】もあります。

つまり、この【南寺】がある付近一帯は、島古来の“祈りの場”にあたる場所なのですね。
そしてその場所で、
真っ暗闇の中に座って、光だけを待つという【Backside of the moon】での体験は、
せわしない日常の中ではちょっと味わえない時間と感覚をくれます。
《瀬戸内国際芸術祭2013》(※8)も開催されていますし、
もし、瀬戸内に行かれる方があれば、是非、【南寺】、行ってみてください。
で、帰りにフェリーで四国に渡って、
香川で讃岐うどんをどうぞ。笑
パーキングエリアですら、うどんがおいしいレベルです。
さすがは「うどん県」!


さて、話を戻して…
21世紀美術館は体験型アートであるインスタレーション作品が数多く展示されていますが、
レアンドロ・エルリッヒの【スイミングプール】なんかは、
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?d=7&g=30
家族で二手に分かれて、プールの中と外とで対面したりなんかすると、
小さなお子さんでも楽しめると思いますよ。

本当に水の中にいるみたいなのに、息ができて、
きっと不思議な気持ちになるはずです。
そういう、日常とはちょっと違う感覚を味わえるのも、美術館の魅力です。


そうそう、《信濃美術館》の【驚く!たのしむ!魔法の美術館 -ようこそ、光のワンダーランドへ-】は、2013年11月 4日(月)までです。
是非、お子様連れでどうぞ。
きっとたのしい体験ができるはずです。
http://www.npsam.com/exhibition/docs/maho_kodomo.pdf


って、美術館のまわしものか、っていう勢いですが、
特に宣伝は頼まれていません。勝手にやってます。笑

だって、一般的に思われているより、ずっとたのしい場所なんですもん。美術館て。
あなたのお気に入りがみつかるまで、しぶしぶでも、イヤイヤでもいいから行ってみてください。
きっと思っているより刺激的な場所だと気づけるはずです。

お気に入りをみつけてください。



(※1)《21世紀美術館》
http://www.kanazawa21.jp/

(※2)SANAA
http://ja.wikipedia.org/wiki/SANAA

(※3)ジェームズ・タレル
http://ja.wikipedia.org/wiki/ジェームズ・タレル
↑最後の日本語部分がURLとして認識されないようなので、URLコピペでお願いいたします。

(※4)「忍者寺」こと妙立寺
http://www.myouryuji.or.jp/index.html

(※5)直島
http://matome.naver.jp/odai/2133661104038461501

(※6)家プロジェクト:南寺(みなみでら) 
http://setouchi-artfest.jp/artwork/a006

(※7)安藤忠雄
http://ja.wikipedia.org/wiki/安藤忠雄
↑最後の日本語部分がURLとして認識されないようなので、URLコピペでお願いいたします。

(※8)瀬戸内国際芸術祭2013
http://setouchi-artfest.jp/


タグ :美術

デザインとアートの教室 りんごの森 URL http://ringo-no-mori.com
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