えほん

2014年12月27日

さてさて、だいぶ期間が空いてしまいましたが、前回の第2位に引き続き、キッズやママパパの投票で決まった「えほん」の第1位の発表です。
ちなみに、
2位はコチラから↓
http://ringonomori.naganoblog.jp/e1608538.html
3位はコチラから↓
http://ringonomori.naganoblog.jp/e1606610.html

まずは課題のおさらいから。
この「えほん」は、美大予備校:DESIGN PLANTの受講生である高校生たちが制作しました。

課題内容は以下の通りです。
課題:
本文に文字のない絵本を制作しなさい。
条件:
3歳〜5歳を対象とすること。

この課題で留意すべきポイントは以下の2つ
(1)対象年齢に「まだストーリーを理解できない3歳さん」が含まれていること
(2)絵の状態を本文を書いて説明できないこと
ここが大きなポイントでした。

つまり、一見“遊び課題”のようでいて、実はガッツリ【ヴィジュアルコミュニケーションデザインの課題】ということですね。


では、栄えある第1位の発表です!
第1位は、
長野清泉女学院高校 3年生 ちゃんみわ の
「もりができたよ」です!

えほん
キッズの心をぐっと掴んでこれが堂々の第1位!

夏の終わりの中間プレゼンに、ページのイメージが伝わるスタディー模型を提出し、
他者からより具体的なフィードバックを引き出しやすい状態で中間プレゼンに臨んだことで、
改良するためのポイントが掴み易かった事が、
ちゃんみわが1位に選ばれた理由のひとつでもあると思います。
つまり、他者からはどう見えるか?と向き合いながら、改良できたということですね。
えほん
ちゃんみわが中間プレゼンに出したスタディー模型は、
それこそノートを切り抜いて作ってセロテープでとめて樹を立たせているような代物でした。
でも、それでいいんです。
むしろ、それいいんですね、

「課題が出されたら、“へなちょこプロト(試作品)”をささっと作る。
で、人に見せて、意見を聞いて、改良点を探る。で、もう一度作る。以降、繰り返し。
ただし、初期の頃の“へなちょこプロト”作りには、お金も時間もかけない。絶対に。」
なぜなら、ただの試作品にお金と時間をかけて“思い入れ”が生じてしまうと、
他者の意見が受け入れられず、せっかくのフィードバックを生かせなくなってしまうからです。
これって、物作りをしていると、誰でも陥りがちな落とし穴なんですよね、
つい、(完璧じゃないくせに)完璧主義に陥って、
完璧じゃない物は人様には見せられない…見せたくない!とか言って引きこもって制作して、
合評にヘボ作品を提出…。
で、合評でコテンパンにやられる。
ありがちです。
それで「才能がナイ」とか言って自信を失って、
加速度をつけて引きこもって大学をサボりまくる。制作もしない。
で、就職もできない。結果ニート。
ありがちです。
美大生、これ大いにありがち。
でも、中間プレゼンくらいまでに何度か“コテンパン”を経験しておけば、
合評にヘボ作品を出すなんてことは、いくらでも回避できることなんですね。
デザインの制作にはプロセスというものが他にもありますが、
そういうことを勉強してから大学に送り出しているのも
DESIGN PLANTの特徴です。
入試に受かる事ももちろん大事なんですが、
大事なのはその後の4年間を、更にその先の40年間につなげていくこと。
デザインという靴を履いて社会に着地して、それを仕事にして生きていくこと
、なので、
せっかく合格しても、ひきこもっちゃったら、やっぱりもったいないですから。
そうはさせたくないんですね。
だからまぁ、うちはそーとーおせっかいな予備校ですよね。大学に入ってからさえ、あれしろこれしろと口をはさんで。笑
まぁうるさがられてますよね。はい、知ってます。なにしろ、ライフワークが「おせっかい」。笑

と、いうわけで、
ちゃんみわも中間プレゼンに参加してくれた美大生たちに
十分コテンパンにされていたので、笑
その時ちゃんみわにわたしがしたアドバイスはただひとつ。
「最後に『わぁ〜!』って言わせること。」でした。
どんな物を造る時でも、それを見た人、聴く人、触る人、使う人の心をちょっとだけでも動かすことができれば、それは今や勝手にtwitterで拡散されていく時代。
どんなに理屈をこねても、正しくても、
今日寝るまでに誰かに伝えたくなるコトを造れなければ、誰も興味を持ってはくれないんだよ、と。だから今回はまず、こどもたちから『わぁ〜!』って言葉を引き出すところをゴールに設定して、しっかりそこに落とし込みなさい。と。

さぁ、こどもたち、
『わぁ〜!』って言ってくれたんでしょうか???
ちゃんみわ作の絵本を見ていきましょう!


「もりができたよ」

表紙
えほん




見返し
えほん




扉・・・ナシ(惜しい!)




さぁ、はじまりはじまり〜

おや?草原にことりが何かの実を落として行ったようですね
えほん





落ちて来た実は、そのままストン!と地面に埋まってしまいました。
えほん





おや? あの実から小さな芽が出て来ましたよ。
えほん





芽は草原の真ん中に小さく双葉を出しました。
えほん





草原の真ん中で、その芽はぐんぐん育っているようです。
えほん





しばらくすると、小さかった芽は立派な木に育ち、
そこに集まる小鳥たちが、あちらこちらにまた小さな実を落としていきます。
えほん





草原に少しずつ木が育ち、やがて林になると、
隠れる場所やおいしいごはんがあるので、動物たちも集まって来ます。
えほん





小さな実が空から落ちて来てから、どのくらい時が経ったのでしょうか?
ここには、たくさんの動物たちが集まっているようです。
えほん
えほん




そう、いつかの草原は、
たくさんの命の暮らす森になったのでした。
えほん
おしまい。





見返し
えほん






裏表紙
えほん



そして・・・
森が立ち上がる最後のページを開くと、
ちゃんみわの周りには、小さなこどもたちの輝く笑顔と
『わぁ〜!』という声が広がりました。
えほん

しかもこの絵本、複数人で見る事を想定して、どの方向から見てもいいように、
仕掛けの裏側にもきちんと絵が描いてあります。

もちろん、2位のもいに言ったのと同じように、
原画を製本せずに、一回印刷してからそれを製本した方が、
完成度は高かっただろうな、ということや、
表紙の文字のデザイン、仕掛けのない前半ページのイラストなど、
改良できるところはまだありますが、
それでも、こどもたちから
『わぁ〜!』という言葉を引き出せたのは確かな事実!
どうやったら喜んでくれるカナ?と、
こどもたちの目線で考えたものづくり、よく頑張ったネ!
しかも、得票数もダントツの1位!!
これは自信を持っていい!!!


でもって、高校生よ、
ヴィジュアルコミュニケーションて、こういうこと!
何かを自己満でつくるだけじゃダメで、コミュニケーションて、
作って、伝わって、揺さぶる。そして還ってくる。そういうこと。
文字が読めない小さな子にだってね、
適切なヴィジュアルがあれば、伝えたい事は伝わるんだ!
しかも、一瞬で。

それってスゴいし、

ヴィジュアデザインて、責任重大だよね。



デザインとアートの教室 りんごの森 URL http://ringo-no-mori.com
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Posted by りんごの森のミズキせんせい at 20:20│Comments(0)美大予備校:DESIGN PLANT
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